真夜中の雨は無性に人恋しい気持ちにさせる。

それと共にカーテン越しに見える稲光は孤独感をより一層きわだてた。

 

 

今夜の天候は大荒れらしい。

 

 

〜真夜中の雨〜

 

 

俺はそんなことを思いながら、イスに座り淡々と外を見ていた。

カーテンで仕切られた部屋には電気もついておらず、月も出ていないためか薄暗い。

時節、光る雷だけが唯一の光源といっても過言ではないだろう。

 

耳に届くのは屋根を打ち付ける静かな雨音に庭の低木を揺らす風の音。

そして、一定の間隔を置いて鳴り続ける時計。

そんな空間はまるで自分がこの世に一人のような実感をわかせた。

 

「遅いな。」

 

一人と言うことをなぜか定義したくなくて、俺は誰に伝えることもない言葉を吐いた。

 

 

 

時刻は夜の12時を廻ったところだ。

いつも五月蠅いくらい自分につきまとってくる人物はなぜだかいない。

 

読みたい本もなければ、することもない。本当に暇でしょうがなかった。

だから、床につこうと考えてシャワーを浴びて寝室へ行ったのは数分前だったか?

 

それでも、雨音と稲光は睡眠を妨害して・・・・。

 

「早く帰って来いよ。」

 

未だ帰ってこない待ち人にそう呟いてから少し冷めたコーヒーを口に運ぶ。

そしてなんともなしに窓辺まで近づきカーテンを開ける。

 

その瞬間ピカっと強い閃光がはしった。

 

音は聞こえないので随分と遠くなんだろう。

 

 

 

 

 

「新一?」

「おかえり。遅かったな。」

 

いつの間に眠っていたのだろうか?

俺は窓に寄りかかるような格好だった。

 

上から快斗が驚いた顔をして自分を見ている。

 

 

「遅かったじゃないよ。何も着ないでこんな窓辺の寒いところで寝るなんてさ。」

「ああ、俺も寝る気はなかった。」

「あのね・・・。」

 

寝ぼけながらかえす言葉は自分で聞いていても意味不明で・・。

 

「ところで、今何時?」

「1時だけど。いつからここにいたの?」

「12時過ぎ。」

 

そんなに眠っていないのだと分かって快斗は少し安心したような表情へと変化する。

それを見ながら、俺は目を開けておくのに必死だった。

 

体が睡眠を要するのだ。

 

「快斗、眠い。」

「ちょっ、新一?もうしょうがないな。」

 

その言葉と共に体に伝わる心地よい温度と浮遊感。

階段をのぼる音が遠くの方で響いている。

 

「さて、俺も一緒にねよっかな。」

 

柔らかい羽毛に包まれたように快斗の腕に抱かれて、

そして快斗は満足したようにキスを落として瞼を閉じた。

 

それを確認して、俺は少し目をあける。

 

 

そとではまだ雨が降り続いていた。

それでも、それはさっきみたいに寂しいものではなくて。

 

「2人なら夜の雨もイイかもな。」

 

よこで深い眠りについた快斗の瞳にそっとキスを落として俺もゆっくりと瞳を閉じた。

きっと、明日は澄んだ空気とともに燦々と照りつける太陽を見るんだなと思いながら