こんばんはv 麗しのお嬢様方。

今宵も私、怪盗KIDの正体である黒羽快斗(17)と愛しき君、工藤新一(17)との甘く切ないラブストーリーを

 

・・・ドカッ(蹴)ゲシッ(殴)バキッ(アッパー)ゲフッ(吐血)・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(少々お待ちください)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・ゴホゴホ・・・し、失礼しました。(汗) それではお楽しみください。

 

 

君の虜

〜文化祭パニック〜〈前編〉

 

 

「はぁ!? オレがシンデレラぁ?!!」

 

今日は江古田高校の文化祭。

生徒がたくさんいるグラウンドのど真ん中に、大絶叫が響いた。

 

「し―――――! し――――――! 頼むから大声出さないで〜〜〜(泣)」

 

この情けない声を出しながら新一に懇願してるのはオレ、黒羽快斗。

自分で言うのもなんだが、おちゃめでイケテる(死語)ナイスガイだ(笑)

 

そして・・・

 

「(ひそっ)なんで男のオレが女役をやんなきゃいけねーんだよ? しかも主役だし。

つかそれ以前に部外者だし、セリフだって完璧じゃないし・・・」

 

「大丈――夫! ただの劇じゃおもしろくないってんで、配役全部男がやってんだ。

それに化粧とかやったら、結構わかんねーもんだって! セリフだって、新一ならなんとかなるよ!」

 

「でもなぁ・・・」

 

オレの目の前で劇に出るのをしぶっているのは、愛しい恋人工藤新一。

ただいまオレは、シンデレラの代役を探している。

なんでかって? んなの元の奴が逃げたからに決まってんじゃん。

 

「頼むよ〜、オレあんな奴とキスシーンなんかしたくねーんだよ〜(泣)」

 

ピクッと新一の体が揺れる。

おっ、脈ありか?! よっし、もう一押し!(笑)

 

「新一はいいんだ〜。オレが他の奴といちゃこいても。(死語)ふ〜ん、いいんだ〜〜、ふ〜ん」

 

わざとらしくいじけてみたりする。

新一も変なとこでプライドが高いから、ここまで言えばやってくれるだろうと、オレは疑わなかった。

 

だが、しかし・・・

 

「シンデレラにキスシーンなんかあったか?」

 

ガクゥ・・・論点ズレてるよ、新一さん・・・。

 

オレが勝手に沈んでると、横から「工藤君」と控えめだが、はっきりと強い口調が新一を呼んだ。

 

「灰原」

 

「あっちで古本を売ってるみたい。のぞいて見ない? 掘り出し物があるかもよ?」

 

あからさまに顔を輝かせる新一。

ちょっと待て。 もしかしてもしかするのか?(汗)

 

「じゃ、快斗。また後でな!」

 

「え? ちょっ、新一!?」

 

そう言うや否や、ものすごいスピードでこの場を去る新一。

ガクッと地面にひざをついて右手を伸ばす。

しかしというか当たり前というか、その手は新一には到底届かない。

残されたオレの新一を求める行き場の無い手と心が悲しい・・・。

 

「うそ〜〜ん・・・。どうすんのだよ、劇・・・・・・。」

 

「クスッ」

 

オレは隣をみる。 少し睨みながら。

そこには勝ち誇った笑みを浮かべながら、小学生らしからぬ、しかし見た目は小学生な、灰原哀(?)が居た。

 

「哀ちゃん、ひどいよ〜(泣)」

 

「あら、私はまだ、工藤君を諦めたわけじゃないわ。邪魔をしてもいいと言ったのはアナタよ?」

 

「うう・・・そうだけど〜〜〜(泣)」

 

確かに新一と『恋人』という関係になった時、哀ちゃん達に見え張って、

「邪魔できるものなら邪魔してみなv」なんてタンカきったけど・・・本当にやられると、結構辛い・・・・・・・・・。

 

そんなオレの様子に満足したのか、哀ちゃんは、その場を立ち去ろうとする。

新一の後を追うつもりだろう。

 

「それじゃ、シンデレラのいない劇を楽しみにしてるわね」

 

微笑を称えながら言ったその言葉を聞いて、オレは固まった。

 

・・・・・・徹底的に邪魔する気だ。

 

やばいかな・・・、なんて思いながら、冷や汗を流した。

 

「ちょっと、黒羽君?」

 

ぽんっと肩を叩かれた。

振り返ってみると、そこにはセミロングの茶色がかった髪の、ごくごく普通にいるクラスメートがいた。

 

「何?」と、まだ先ほどのことを引きずった、暗い顔で聞き返す。

 

「えっと、(汗)あの、シンデレラの代役のことなんだけど・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫?」

 

彼女の言う「大丈夫?」は、代役は見つかったのかどうかに対してではなく、

オレの状態に対しての「大丈夫?」だろう。

 

「あ―――――、うん。ダイジョウブ、ダイジョウブ」

 

「(ホントかよ)開演は正午からだから、あと3時間しかないの。それまでに衣装合わせとかしたいから、

11時には連れて来てもらいたいんだ。・・・でも、セリフとかはほんとにいけるの?」

 

OKOK。大丈夫だよ。オレにまかせといて!」

 

にぱっっと笑ってみせた。

すると彼女は、みるみる顔を赤らめていく。

 

「じ、じゃ、が、がんばってね」

 

どもってはいたが、そう言い残すと、クラスに戻るのか、校内に走り去った。

クラスメートの後ろ姿を見送った後、オレは立ち上がって伸びをする。

 

「さぁ、ご期待に添えて、頑張りますか!」

 

その顔は、いたずらを思いついた子供のようだったとか・・・。

 

 

 

 

                                     前編 END

 

 

 

 

◇飛鳥様より◇

あとがきという名の言い分けらしきもの(汗)  略して『あといい(汗)』

はい、押し付け物第2弾。『君の虜〜文化祭パニック〜〈前編〉』いかがだったでしょうか?

授業中、勉強そっちのけで頑張りました!(ヲイ)

コンセプトは『邪魔』というわけで、やっぱ最初はこの人しかないでしょうと思い、哀ちゃんの登場です。

なかなか難しかったです(汗)

そしてなぜシンデレラかと言いますと、ウチの学校でもシンデレラやるんです。

飛鳥は証明ですけど(笑)

時期的にもちょうどいいな、と思い書かせていただきました。

楽しかったですv

 

◇春日より御礼のコメント◇

文化祭でシン(新一)デレラー!!!

し、失礼しました。

こんなとこに、コメントをつけて、飛鳥様の作品の価値が下がる気がしている春日です。

いや、もう、なんといっても哀ちゃんが最高です。

あの、最強っぷり、あの冷淡な口調。ああ、好みです!!

そして、個人的にお気に入りなのが、新ちゃんの『キスシーンなんかあったか?』宣言。

確かに考えてみると・・・・あったけ?見事なつっこみに、もう脱帽です。

続きが気になって、気になって。

新デレラ(新一がシンデレラをしているという意味)が早くみたいです!!!

あっ、でも授業に差し支えない程度に・・・(苦笑)

本当に、素敵な作品をありがとうございました。

 

                               

 

 

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