キキーッ バタンッ
只今、5:00PM。
たった今、目の前に聳え立っている家の主、黒羽由希が呼び出された事件から帰ってきた。

実は彼女は工藤新一が解毒剤の副作用の為に、女体化してしまった姿なのであった。

見た目に合わず荒々しくドアを合鍵で開け、不機嫌オーラを撒き散らしながら入ってきた。

リビングに居た雅斗は、帰りを待っていた母の為にコーヒーを淹れていた。

彼女愛用のコーヒーカップに注ぎ、テーブルの上に置いて、母を待っていた。

段々スリッパの音が近づいてくるにつれて、母が不機嫌なのに気付いた。

これはヤバイ!と思い兄弟と父を呼ぼうと思ったものの、みんな外出中であって、誰も不運にいない。

 

「かっ、母さん。お帰りなさい…」

「あ、ただいま。雅斗」

にこっと微笑み、着ていたジャケットをソファに放り投げる。

そのソファに自分もどさっと座る、目の前にあるコーヒーに気が付き、雅斗に礼を言いそれを飲み始めた。

始めは普段の様にゆっくり味わう様に飲んでいたのだが、突然何を思ったがぐいっといっきに飲み干し、

だんっとカップが割れるかと思うくらい乱暴にテーブルに置いた。

その瞬間、雅斗に嫌な予感がみごとに的中した。

 

「だああああああっ!!!!もう我慢ならねェっ!

まさとっ、アルコール!何でも良いからアルコール類をもってこい!!」



お世話がせ

-前編-

 

キキー
只今、7:00PM。

外出していた黒羽家の大黒柱が帰宅した。本当は一緒に外出した子供達と一緒に、

8時まで帰らない予定だったが、少し胸騒ぎがした為戻ってきた。

 

「ただいまー。……..雅斗、新一帰ってきたのか?」

 

玄関にあった新一の靴を見て、快斗は家にいる筈の雅斗に歩きながら問いかけた。

歩き始めてまだ間もない頃、快斗は気が付いた。アルコールの匂いに。

どうしたのかと思い、早歩きでリビングに向かって往った。

 

プワ〜ン

「うっ!すっげー酒臭いじゃん、まだ中にも入ってないのに!

もしかして雅斗、酒でも飲んでんのか?それとも、新一が?!」

 

思ったより強烈な匂いに、蒸せながらリビングに入った。

そこには雅斗の姿は無く、無数のアルコールビンと共に座っている新一の姿があった。

快斗はやっぱり…と肩を落としながら酒臭い愛しの人へと向かった。

 

「ったく、何してんだよ。いくらアルコール度が低いからって、こんなに飲むかなぁ?」

 

呆れ顔で未だにワインを飲んでいる新一と、転がっている無数のビンを交互にみながら言った。

飲むのを止めさせようと思い、新一の隣に来て座る。

それに対して新一は、ん?と隣に座っている快斗を見る。

 

快斗はドキッとした。皆さんご存知だと思うが、酔っている新一は普段の数倍色っぽい(笑。

もし免疫の無い人がみたら、押し倒される事間違いなし!と言い切れる程の色っぽさだ。

純白と言い切れる程の美しい肌と、かわいらしい頬はうっすらピンクになっていてとてもソソる、

瞳はトロ〜ンとしていて「襲ってください」と言っている様なもの、

そして呼吸は少し荒く少し汗を掻いていて夜の新一を思い出させる。

 

(うっ!!!しんいち、かわいいっ//////襲いてぇ〜っ!!!!!

はっ、駄目だ快斗、絶えるんだ!今ヤったら後でお仕置きがくるっ!!)

 

顔を真っ赤にさして頭をブンブン振っている快斗。

それを見て、面白そうにケラケラと声を上げて笑っている新一。

この新一の行動により、快斗はさらに赤面してブンブンと頭を強く振ることになった。

 

(しっ、新一ってば酷い!!俺の理性をからかいやがってぇ〜〜!!!

うーわー!そんなに無邪気に笑うなぁ〜/////////)

 

頭を振っていた快斗だが、笑い声が聞こえなくなってので振るのを止めた。

何故かと思い、新一の顔を見れば今度は大粒の涙を流して泣いているではないが!

 

「うっ…ふぇっ…うっ」

 

「えっ?!しっしんいちっ、どうしたのっ??お腹でも痛いのか?」

 

オロオロとする快斗を目の前にポロポロと涙を流す新一。

めったに悲しくても、辛くても泣かない新一が素直に声を上げながら、泣きじゃくっている。

それに対してどう応じたらいいのか解らず、快斗はひたすらオロオロしていた。

新一は泣きじゃくるのを一旦止め、快斗に抱きついた。そしてグイグイと胸を押し付けてくる。

 

「かいとぉっ…犯してっ俺を、犯してっ…….おねがいだからぁっかいとぉっ」

「!!どうしたんだよ、新一!!どうかしたのかっ?」

「かいとぉっ犯してっ…おねがいだからさぁっ…」

「おいっ新一!!本当にどうしたんだよっ?!何かあったのかっ!!?」

 

問いかけた瞬間、新一の体が身震いするのを快斗は感じとった。

 

「うっ….かいっとぉっ…おねっがいだからっ….俺をめちゃくちゃにしてっ….

かいとのことしかっ考えられないくらいにっ………めちゃくちゃにしちゃってぇっ….」

 

快斗は何故か解らず、抱きついてくる新一の体にさえ腕が回せなかった。

泣いたと思ったら犯してくれと頼みこんでくるし、普通なら死んでも言わないようなことを発してくるし。

わけが解らない。

 

「!?……新一、まさか……..レイプされたんじゃ……..?」


言った瞬間、新一が大きく身震いをした。

そしてぎゅっと今よりも強く、快斗に抱きついた。

そして新一は謝った。

 

……..うっ…..ごめっん…なさっ…...」

 

!!」

すべてを悟った快斗に、怒りがこみ上げてきた。

「なっ、マジかよっ」